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今回はいつもと少し違うジャンルのネックレスを仕入れました。ズニ族のフェティッシュネックレスとナバホ族のリキッドシルバーのネックレス、ともにヴィンテージのいわゆるインディアンジュエリーです。
インディアンジュエリーはアメリカの先住民である「ネイティブアメリカン」「インディアン」が作った銀をメインにターコイズ、その他貝、石を組み合わせたジュエリーを思い出すとか思いますが、今回のネックレスはその中でも特別!ネックレスを見つけたときの新鮮な気持ちや感動が伝わればいいなと思ってます。
私は今までインディアンジュエリーの知識はなく、むしろあまり興味がなかったのですが、仕入れ先のディーラーさんに丁寧にその歴史を教えてもらい興味が湧きました。そして、ジュエリーだけではなく、自然・地球に感謝し、丁寧な仕事をし生きていくネイティブアメリカンの生活そのものに共感しました。
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では本題に。まずは上の写真両端の動物の飾りのネックレス。1950年代に作られたズニ族という部族による「フェティッシュネックレス」を紹介します。
アメリカのニューメキシコに住むズニ族はかつて動物の形に似た石を見つけると動物が稲妻によって石に変えられたと信じ、そこに特別な力が宿っていると考え、狩りや旅、病気のお守りにしていたそうです。それはコロンブスがアメリカ大陸に上陸する前の話だそうですが、その後ズニ族は自身で石を削り、動物や精霊の形をしたお守りのようなもの「フェティッシュ」を作り出します。フェティッシュは彼らを危険から守り、祝福を与え、その人の人生を導くと信じていました。そのフェティッシュが飾りとして使われたものをフェティッシュネックレスと言います。
ターコイズのフェティッシュネックレス。ビーズも飾りもすべてがターコイズで作られています。ちなみに動物の飾り以外の円筒状のビーズを「ヒシ」と呼ぶのですがそれについてはまた次回。
ズニ族が作る動物にはそれぞれ込められた意味があります。例えばアルマジロはゆっくりと確実に、物事を正しくする。家を守る。バッファローは辛抱強く物事に打ち勝つ。かえるは雨を降らせ豊穣を願う、などなど。ちなみに天然ターコイズは彫刻が非常に難しく熟練の技が必要です。
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そしてもう一本はハチドリのフェティッシュが並んだネックレス。ハチドリはそれぞれマザーオブパール(貝のような輝きのもの)、ターコイズ、ジェット(黒)、レッドジャスパー(茶)を彫刻して作られています。
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「よきもの」をもたらすと言われるハチドリは幸運のシンボル。ネイティブアメリカンの神話にハチドリは頻繁に登場します。
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そしてそれぞれの飾りの間に並ぶ小さなビーズはこちらも「ヒシ」と呼ばれるもの。こちらは貝で作ったヒシが使われています。
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最後はナバホ族のリキッドシルバーのネックレスです。ミディアム丈の余裕ある長さで、シルバーのすっきりとした輝きが夏にぴったりです。
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1970年代に作られたこのネックレスはシルバーのビーズの間に「ナゲット」と呼ばれるターコイズの小さな塊が通されています。そしてリキッドシルバーと呼ばれる、チューブ状の銀を小さくカットして円筒形にしたビーズが並んでいます。リキッドシルバーと呼ばれる所以は糸でつなぐと水の流れのように見えることからとのこと。
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このネックレスを作ったナバホ族は、16世紀末から17世紀に掛けて、スペイン軍との交易を経て鍛冶の技術を手に入れました。蹄鉄を叩き、ゴールドラッシュに湧く西部開拓時代には白人との戦いが始まります。
そして時は流れ扱う金属が鉄から銀に。当初はスプーンなどの日用品を作っていましたが、その後銀とターコイズを組み合わせたいわゆるインディアンジュエリーを生み出します。1930年代から人気のアーティストが生まれ、ナバホ族の作品はアメリカの高級デパートで扱われるなど、ジュエリーとしての一定の地位を認められたそうです。
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そんなわけでとても、とても話はながくなりましたが、何より下の写真のボスの顔を見れば、どれほどこのネックレスが気持ちをワクワクさせるものかが伝わるような気がします。3連休、ゆっくりブログを読んで、商品をご覧いただければと思います。
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ちなみにインディアンジュエリーの製作はネイティブアメリカンによるもでないと罰則が与えられるなどの厳しい決まりがあるようで、その大切に守られる姿は日本でいう代々続く伝統工芸品に近い気がします。