DIARY

ネックレスチェーンの修理。

オールドプラスチックのネックレス。ぱっと見はわかりにくいですが如雨露のモチーフがずらりと並んでいます。如雨露の先から勢いよく飛び出す水が小さなドットの列で表現されているのが斬新。

少し悩んだ修理の記録。以前お買い上げいただいたネックレスのチェーンが切れてしまったそうでお預かりしました。切れたのはチェーンの真ん中。一番目立つ部分でした。古いプラスチックチェーンなので「少し時間をいただきます」と「もしかしたら異素材(金属のチェーン)を使っての修理になるかもしれません」とお断りしてネックレスはしばし入院です。

お客さまにはいろいろ伝えましたが、チェーンの修理ならちょちょいのちょいで済むかと思いきやそうは行きませんでした。イバラの道に踏み込んでしまった。新しいプラスチック製のチェーンは少しですがしなるほどの柔らかさがあります。チェーンの輪の一か所に切り込みを入れてうまくつなぎなおせば金属のチェーンを修理するのと同様な手順で直すことが出来ると思っていました。

まず試しにネックレスの一番端のチェーンの輪をニッパーでカットしてみることに。「パッチン!」とはじける音と共にチェーンが木っ端みじんにどこかに飛んでいきました。。。がーん😨消息不明。とは言え、今のはたまたまかもと思いもう一度カットしてみよう。今度はもしもの時パーツを飛ばさないように手でカバー。パチン。カバーした手のひらにぱちぱちぱちと細かく割れたチェーンがぶつかる感触。手を外してみると無残も原形をとどめないチェーンの輪だったであろうプラスチック屑。笑っちゃうくらい細かくなっていました(涙)このまま続けるといくら十分長さのあるチェーンとは言え短くなってしまうと作戦変更。

カットを安全に糸鋸で行うことに。慎重に慎重にチェーンの一か所を切断。チェーンに切り込みが入りました。無事切れたとほっと一息。ではちょっとひねって切れたチェーンをつなぐための輪に通そうと少し力を加えた瞬間またパチン!ガーン、割れて飛んでいきました。さらに慎重にやれば大丈夫な気がするともう一度切り込み入りのチェーンを用意し挑戦!パチン。失敗。そりゃそうだ。作られて70年くらい経過。少し柔らかかった身体もカチカチに硬くなるのです。ここで心折れ少し寝かせることに。

その後切れたプラスチックチェーン同士を気は進まないけど金属のチェーンで接続。プラスチックチェーンと同じ形に整えて、ついでに色を塗ってみたものの、やっぱり変。すごく変だったので「だめだ!」と思い写真も撮りませんでした。切れた場所がネックレスの横ならばよかったのですが中央。せっかく良い流れのデザインを止めるわけにはいかないなとさらに寝かせることに。

~~~~ 季節は流れ

もう直さなければと心に決めて修理再開。そうだ、そうです。今度は意図的にチェーンを2つに割ってネックレスを通し、割ったチェーンの輪を再度くっつけて復元すればいいのか。うん、単純なことだった!単純だけど、この割ったチェーンをくっつけるが少々「むむむむ~~~」と眉間にしわが寄る作業でした。

約5ミリのチェーンを二つに割る。2.5㎜と2.5㎜のU字型のかけらが2つ。そのかけら一つ一つにおおきなパーツがたくさん並んだチェーンを引っかける(重い!)。じゃらじゃらが引っかかった極小の「U」と「U」をぴたりと合わせる!そして接着剤を慎重に割った断面に爪楊枝で塗る。なぜ慎重にかというとほかの部分について正常なチェーン部分が固まってしまっては大変だから。そして固定!ずっと手に持ってるの?どうしよう~~。むむむー。そうだ、練り消しの上に置いて固定!ちょっとしたオペ。大げさだと言われても平気です。だって大変だったんですもの。

ようやくお客さまのもとに帰っていきました。日帰り入院のものもいれば、長くかかるものもあります。でも一度方法が見つかれば、次からはまたより元の状態に近い状態でお客様に返すことが出来ます。金属チェーンでの代用に妥協しなくてよかったです。ほんとうに元通りになった~~。は―よかった。そして、はーつかれた~。