西洋のものとは違う細工の細かさ、その技術で表現した遊び心。手放すのも惜しいぞとコレクションとした東洋の古い・ちいさなものたちにベルカプリらしさを加え形にし、お客様にお届けすることにしました。
直径3.5センチほどの小さな器に8匹のねずみまたは尻尾の大きさを見るとリスのような動物が走り回る姿を彫刻した「鳥食罐」と呼ばれる鳥のえさ入れ。その小さな器を今回ピンクッションに見立て今楽しんで使える道具にしました。もちろんクッションを外せば鳥のえさ入れとしても使っていただけます。
鳥のえさ入れである「鳥食罐」の歴史は古く宋の時代まで遡ります。特に清の時代には皇帝や貴族の間で鳥の飼育が楽しまれ「宮殿に入るときにひざまずいて皇帝に敬意を表する必要がなかったのは鳥だけ。」と言われるほど鳥は大切に扱われました。その鳥たちに用意された器はやはり特別なものばかり。素材は主に陶磁器がおおく特に清朝時代のものは、景徳鎮の白磁や青花磁器で当時の最も高度な技術によって作られていました。ちなみに2018年のベルカプリの年賀状では戌年だったので犬の絵が描かれた白磁の鳥食罐を撮影しました。壷型には水、口が広い器にはに餌を入れていたようです。
作られた時代、描かれる風景、人物、縁起の良い動物、花鳥など見どころも多く、何百点も所有するコレクターもいるそうで鳥食罐は「鳥の道具」というだけでなく実用的な価値も備えた芸術品として評価されるのもわかります。ちなみに今回の餌入れに彫刻されたねずみは中国で「繁栄」と「富」を象徴として多く描かれます。リスはあまり一般的ではないようですが「機敏さ」や「繁栄」の象徴とされています。また今回のえさ入れ、陶磁器製ではないのも珍しく、細かな透かしの彫刻を見ると唸るほどの技術。それなのにそれを忘れてしまうほどの楽しい遊び心を感じ、「OTHERいろいろ」のコンセプトにぴったりの品だと納得しています。